内臓脂肪と聞くとやっかいなイメージがありますが、実は正しく向き合えば減らしやすい脂肪でもあります。この記事では、内臓脂肪と皮下脂肪の違いから、増える原因、そして今日から始められる減らし方まで、公的機関や学会の情報をもとにわかりやすく解説します。焦らず整えていきましょうね。
Contents
内臓脂肪とは?皮下脂肪との違い

体につく脂肪は、大きく内臓脂肪と皮下脂肪の2種類に分けられます。まずはこの違いを知ることが、効率よく減らす第一歩です。
つく場所と体型の特徴が違う
内臓脂肪は、胃や腸のまわりにたまる脂肪です。お腹がぽっこりと前に出る、いわゆる太鼓腹のような体型につながりやすいのが特徴です。
一方の皮下脂肪は、皮膚のすぐ下につく脂肪。お尻や太ももなど下半身につきやすく、女性につきやすい傾向があるといわれています。つまんでつかめるのが皮下脂肪、つかみにくくお腹の奥が張っているように感じるのが内臓脂肪、とイメージするとわかりやすいですね。
内臓脂肪は生活習慣病とのかかわりが深い
気をつけたいのは、内臓脂肪と皮下脂肪では体への影響が異なる点です。厚生労働省の情報によると、肥満は内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられ、内臓脂肪型のほうが生活習慣病を発症するリスクが高いことがわかっています。
内臓脂肪のたまり具合は、おへその高さで測るウエスト周囲径(腹囲)がひとつの目安になります。日本では、内臓脂肪の蓄積が疑われる目安として、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上という基準が用いられています。健康診断で腹囲を測るのは、このためなのですね。あくまで目安のひとつですが、ご自身の数値を知っておくと、体の変化にも気づきやすくなりますよ。
だからこそ、見た目の問題だけでなく、健康のためにも内臓脂肪は意識して整えておきたい脂肪なのです。
内臓脂肪が増える原因

内臓脂肪は、いくつかの要因が重なって少しずつ蓄積していきます。心当たりがないか、振り返ってみましょう。
食べ過ぎと糖質・脂質のとりすぎ
もっとも大きな原因は、消費するエネルギーよりも多く食べてしまうこと。とくに糖質や脂質の多い食事、甘い飲み物やお菓子、アルコールが続くと、使いきれなかったエネルギーが脂肪としてたくわえられていきます。
運動不足と加齢
体を動かす機会が少ないと、エネルギーが消費されにくくなります。さらに年齢を重ねると筋肉量が減り、基礎代謝(じっとしていても使われるエネルギー)も下がっていきます。若い頃と同じ食事でも太りやすくなるのは、このためです。
女性は閉経後に増えやすい
内臓脂肪はもともと男性につきやすい傾向がありますが、女性も油断はできません。閉経の前後になると、内臓脂肪の蓄積を抑える働きのある女性ホルモン(エストロゲン)が減っていくため、内臓脂肪が急に増えやすくなるといわれています。これまで下半身中心だった脂肪が、お腹まわりにつき始めたと感じる方は、このサインかもしれません。
内臓脂肪は皮下脂肪より落としやすいといわれています
ここで朗報です。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、一般に落としやすい脂肪だといわれています。
内臓脂肪はエネルギーの出し入れが活発で、食事や運動の見直しに反応しやすいためです。ダイエットを始めると、多くの場合まず内臓脂肪から先に減っていき、皮下脂肪はそのあとからゆっくり減っていきます。
「頑張っているのに下半身が変わらない」と感じる時期があっても、体の内側ではちゃんと変化が進んでいることが多いもの。途中であきらめず、続けることが何よりの近道です。
内臓脂肪を減らす方法

ここからは具体的な減らし方を、食事・運動・生活習慣の3つに分けてご紹介します。むずかしいことはありません。続けられそうなものから取り入れてみてくださいね。
食事:食べる順番とたんぱく質を意識する
がんばって食事を抜く必要はありません。まず意識したいのは食べる順番です。
野菜やたんぱく質をご飯などの炭水化物より先に食べると、食後の血糖値の急な上昇がおだやかになることが、複数の研究で示されています。さらに、たんぱく質や脂質を炭水化物より先にとると、小腸からGLP-1というホルモンの分泌が促されることも報告されています。GLP-1には食欲を抑えたり、胃の動きをゆっくりにして満足感を持続させたりする働きがあり、結果として食べ過ぎを防ぎやすくなります。
つまり、同じ食事でも食べる順番を変えるだけで、体にやさしい食べ方に近づけるのです。あわせて、揚げ物や甘いものを少し控え、たんぱく質と野菜をしっかりとることを心がけましょう。
たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品などからバランスよくとるのがおすすめです。とくに魚や大豆製品は脂質をとりすぎにくく、取り入れやすい食材ですね。また、きのこや海藻、野菜に多い食物繊維は、糖の吸収をおだやかにし、満足感を助けてくれます。主食を少し控えめにして、おかずと具だくさんの汁物で品数を増やすイメージにすると、自然と栄養バランスも整っていきますよ。
見落としがちなのが飲み物です。甘いジュースや砂糖入りのコーヒー、そしてアルコールは、思っている以上にエネルギーを上乗せしがち。とくにアルコールはとりすぎると内臓脂肪との関わりも指摘されています。お茶や水に置きかえる日をつくる、お酒は適量を心がけるなど、飲み物から見直すのも取り入れやすい工夫ですよ。
なお、体脂肪を1kg減らすには、およそ7,000kcalぶんのエネルギー収支の調整が必要だと一般にいわれています。一気に減らそうとするより、毎日の小さな積み重ねで整えていくほうが、結果的に近道です。
運動:有酸素運動に筋トレと「こまめに動く」をプラス
内臓脂肪を減らすうえで効果的なのが、ウォーキングや早歩きなどの有酸素運動です。健康づくりのための目安として、中強度の有酸素運動を週に150分以上行うことがすすめられています。1日に換算すると20〜30分ほど。通勤や買い物の歩きも立派な有酸素運動です。
これに加えて、軽い筋トレで筋肉量を保つと基礎代謝の維持につながります。さらに、エレベーターを階段にする、家事でこまめに動くといった日常の活動量(NEATと呼ばれます)を増やすことも、まとまった運動時間をとりにくい方の心強い味方になります。
たとえば、ひと駅手前で降りて歩く、テレビを見ながらかかと上げや軽い足踏みをする、こまめに立ち上がって家事をする。こうした小さな積み重ねも、1日のトータルでは大きな差になります。きついトレーニングを毎日続けるよりも、無理なく日常に溶け込ませるほうが長続きしやすく、結果につながりやすいものです。できそうなものを、ひとつずつ習慣にしていきましょうね。
生活習慣:睡眠とストレス、急な減量に注意
意外と見落とされがちなのが、睡眠とストレスです。睡眠不足やストレスが続くと食欲に関わるホルモンのバランスが乱れ、食べ過ぎやためこみにつながりやすくなります。湯船につかる、早めに眠るなど、リセットの習慣を大切にしましょう。
また、短期間で一気に体重を落とそうとするのは禁物です。急な減量は筋肉まで減らし、リバウンドしやすい体をつくってしまいます。長く続けられるゆるやかなペースを選ぶことが、結局はいちばんの近道です。
内臓脂肪を減らす目安とペース

「どのくらい減らせばいいの?」という疑問もよく聞かれます。
日本肥満学会の診療ガイドラインでは、肥満症の場合、まず現在の体重の3%以上を減らすことが目標のひとつとされています。たった3%と思うかもしれませんが、3%ほどの減量でも、血糖や血圧、脂質などの数値の改善が期待できると報告されています。
体重60kgの方なら、約1.8kg。これなら手が届きそうですよね。いきなり大きな目標を立てるより、まずは3%を目安に、無理なく続けていきましょう。
内臓脂肪に関するよくある疑問

女性でも内臓脂肪はつきますか?
つきます。とくに閉経前後はエストロゲンの減少で増えやすくなるため、これまで皮下脂肪が中心だった方も、お腹まわりの変化に気をつけたい時期です。
どのくらいの期間で減りますか?
個人差が大きいため一概にはいえませんが、内臓脂肪は比較的反応しやすい脂肪です。食事と運動を続けると、数値の変化を感じられることが多いといわれています。焦らず、数か月単位で見ていきましょう。
お腹だけを部分的にやせることはできますか?
お腹だけを狙ってやせる「部分やせ」は、運動だけでは難しいといわれています。脂肪は体全体から少しずつ減っていくためです。とはいえ、内臓脂肪はお腹まわりにつきやすく、しかも比較的落としやすい脂肪。食事と運動で全体のエネルギー収支を整えていけば、お腹まわりの変化を感じやすいでしょう。腹筋などの運動は、引き締まった印象づくりの後押しになります。
エステで内臓脂肪は減らせますか?
エステは医療行為ではなく、内臓脂肪そのものを直接減らすものではありません。内臓脂肪を減らす土台はあくまで食事と運動です。そのうえで、気になるお腹まわりやボディラインを整えるサポートとして、エステを取り入れるのはひとつの方法です。
まとめ|内臓脂肪はコツコツ整えれば応えてくれる
内臓脂肪は生活習慣病ともかかわる脂肪ですが、皮下脂肪より落としやすく、毎日の積み重ねにきちんと応えてくれます。
食べる順番を意識する、こまめに歩く、睡眠を整える。まずは現在の体重の3%減を目標に、できることから始めてみましょう。
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