花粉症は目の痒みやくしゃみといった症状が多く知られています。しかし、花粉の時期になると肌がかゆかったり、目のまわりが赤くなったりする人もいるのではないでしょうか。
その場合、花粉が原因の皮膚炎である可能性が高いです。本記事では、花粉症によって引き起こされる皮膚炎についてや対策について解説していきます。
花粉による肌荒れやこの時期になると肌が荒れる人は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
Contents
花粉症とは
花粉症とは、スギやブタクサなどの花粉によって引き起こされるアレルギー症状のことです。
正式には症状によって名前に違いがあり、「季節性アレルギー性鼻炎」や、「季節性アレルギー性結膜炎」などともいわれています。
花粉症を訴える人の約70%がスギ花粉症であるため、スギ花粉が飛散する春に発症しやすいのが特徴です。
しかし、日本で花粉症の原因となる花粉は60種類以上存在するほか、スギ花粉症の人の70%はほかの花粉症も発症しやすい傾向です。
そのため、アレルギー対象の植物によっては秋に発症する場合もあります。
花粉症で皮膚炎が起きるメカニズム
アレルギーは、異物から体を守るための免疫が異常に反応してしまうのが原因です。花粉症の人の場合は、花粉に免疫反応を示すIgE抗体が多く作られている特徴があります。
そのため、花粉を鼻から吸い込むと鼻水や鼻づまり、目に入ると目の痒みなどそれぞれの場所でアレルギー反応を起こして症状が現れます。
花粉皮膚炎の場合は、皮膚が花粉にアレルギー反応を示すことで発症する仕組みです。花粉が皮膚につくと、皮膚が花粉を異物と判断して防御反応が起こり、炎症を起こして花粉を分解しようとします。
さらに、痒みを引き起こして皮膚をかくことで花粉を取り除こうとするのが花粉皮膚炎のメカニズムです。そのため、痒みや炎症などの症状が現れてしまいます。
花粉皮膚炎の症状
花粉皮膚炎は、主に次のような症状が現れます。
- 皮膚の痒み
- 皮膚の赤み・炎症
- むくみや腫れ
- 皮膚の乾燥
前述の通り、皮膚についた花粉を取り除くために痒みや炎症が出ます。
炎症により腫れたりむくんだりすることで、皮膚の赤みが目立つほか、元からアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合は悪化する可能性が高いです。
また、花粉自体にアレルギーはなくても、花粉の細かい粒子に肌が触れる刺激により花粉皮膚炎が引き起こされるケースもあります。
そのため、鼻や目などその他の花粉症の症状がなくても、毎年決まった時期に肌荒れする場合は、花粉皮膚炎の可能性が高いといえます。
花粉皮膚炎の症状が出やすい場所
花粉皮膚炎の症状が出やすい場所は、皮膚のなかでも服に覆われていない花粉がつきやすい場所です。
とくに顔や首まわりは常に花粉が付きやすいほか、皮膚が薄く刺激に弱い部分であるため注意が必要です。
肌のバリア機能が弱いと花粉皮膚炎になりやすい
肌のバリア機能は、肌の中の水分の蒸発を防ぎ、外的刺激から肌や体を守る働きがあります。
肌のバリア機能が弱くなると、花粉などの異物が簡単に肌の中に侵入できてしまうため、結果的に花粉皮膚炎になりやすくなります。
肌のバリア機能が弱くなる主な原因は肌の乾燥です。とくにスギ花粉が飛散する時期は肌が乾燥しやすい時期と重なるため、バリア機能が弱くなりやすいです。
また、花粉皮膚炎には肌が乾燥しやすくなる症状もあります。一度花粉皮膚炎になると、花粉皮膚炎による乾燥で悪化を招く悪循環に陥りやすいため注意が必要です。
花粉皮膚炎の予防・対策方法
ここからは、花粉皮膚炎の予防法や対策方法について解説していきます。花粉皮膚炎の予防・対策方法は次の通りです。
- 肌を花粉からガードする
- 保湿を徹底する
- 帰宅後は部屋に花粉を持ち込まない
- 生活習慣を見直す
それでは、詳しくみていきましょう。
肌を花粉からガードする
肌を花粉からガードすることで、花粉による肌への刺激やアレルギー反応を防げるため、花粉皮膚炎の予防が可能です。
とくに常に露出している顔や首まわりなどをガードする必要があります。顔はめがねやマスクを着用したり、ファンデーションをいつもより厚めに塗ったりすれば花粉もお肌への付着を防げます。
また、首にはマフラーやネックウォーマー、ストールなどを巻くのがおすすめです。ハイネックなどの服を着ることも十分対策になります。
保湿を徹底する
徹底した保湿をすることで、肌のバリア機能を高め、花粉皮膚炎を予防できます。
とくに、肌の水分と油分のバランスを整えることでバリア機能を高められるので、洗顔後は必ず化粧水や乳液、クリームなどで保湿・保水を徹底しましょう。
また、花粉の時期は肌が敏感になっているため、敏感肌用の低刺激なスキンケア用品を使うのをおすすめします。
肌への刺激を抑える
花粉の時期の肌はとても繊細なため、日常生活でもできるだけ刺激を与えないようにしましょう。
スキンケアの際も、摩擦を防ぐためにコットンの使用は控え、ハンドプレスをするのがおすすめです。
また、マスクを着用したりティッシュペーパーなどで鼻をかんだりする際も、摩擦による刺激でバリア機能が弱くなる可能性があります。
そのため、マスクやティッシュペーパーは肌への刺激が少ない素材でできているものを選びましょう。
帰宅後は部屋に花粉を持ち込まない
帰宅後は玄関先で服や髪などに付いた花粉を取り除くようにし、部屋には花粉を持ち込まないようにしましょう。
できれば、服を着替えたりシャワーを浴びて顔や体に付いた花粉も洗い流すようにするのが望ましいです。
また、洗濯物を干す際は部屋干しをおすすめします。外に干す際は、部屋に取り込む前に洗濯物をはたき、花粉を取り除いてから家に入れましょう。
生活習慣を見直す
生活習慣が乱れると、肌が生まれ変わるサイクルであるターンオーバーが乱れるため、肌のバリア機能が弱くなります。そのため、睡眠や食事などの生活習慣を見直すことも重要です。
睡眠時間を十分に確保するほか、栄養バランスの整った食事の摂取を心がけましょう。特にタンパク質・ビタミンB2・ビタミンB6はターンオーバーをうながす効果が期待できるため、普段の食事に積極的に取り入れるのがおすすめです。
また、腸内環境を整えることで、アレルギーに対する免疫力をつけられます。ヨーグルトなどの発酵食品や、ゴボウなどの食物繊維を多く摂取するようにしましょう。
花粉皮膚炎になってしまったときの対処方法
ここでは、花粉皮膚炎になってしまった時の対処方法として、以下2つがあげられます。
- 皮膚を掻きむしらない
- 痒みが酷いときは冷やす
ここからは、それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
皮膚を掻きむしらない
皮膚を掻きむしると皮膚が傷つくため、花粉で弱くなった肌のバリア機能がさらに弱まってしまいます。
また、掻きむしり続けると痒みが酷くなったり跡になったりする可能性があるため、絶対に掻きむしらないようにしましょう。
痒みが酷いときは冷やす
痒みが酷いときは、「知覚神経」と呼ばれる痒みを察知する神経が興奮した状態になっています。
痒い部分を冷やすと皮膚の温度が下がり、神経が興奮するのを鎮める効果があるため、花粉皮膚炎の症状が酷いときにおすすめです。
そのため、痒みがひどい部分は冷やすようにしましょう。
症状が酷い場合は医師の診察を受ける
前述の対策を試しても痒みや腫れなどの症状が治まらない場合は、必ず医師の診察を受けるようにしてください。
花粉皮膚炎はアレルギー反応であるため、悪化するとアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。
アナフィラキシーショックは重度のアレルギー症状で、発症すると気道が塞がれて呼吸困難になります。
最悪の場合死に至るケースもあるため、花粉対策をしても症状が酷い場合は1度医師の診察を受けましょう。
花粉皮膚炎の対策をして肌荒れを防ごう
今回は、花粉による皮膚炎の特徴や症状について解説してきました。
毎年春や秋など決まった時期に肌荒れを起こす人は花粉皮膚炎の可能性が高いです。
保湿などのスキンケアはもちろん、マスクやファンデーションなどで肌のガードを徹底し、肌のバリア機能を高める花粉対策をしましょう。
花粉症の人や、花粉皮膚炎などが気になる人はぜひ本記事を参考にしてみてください。